人は時の流れに身を委ねて、歳を重ねていくとともに、どのような道を歩んできたのかという
来歴が表出してきます。それは人それぞれのスタイルやファッション、屈託のない笑顔にも現れています。
時間の流れを題材にした芸術的な活動は、悠久の時間、またはその時の一瞬を作品に閉じこめて、
人間が抗えないはずの自然の摂理に対抗しているかのようです。
ここにある本は、経年変化は劣化ではなく、むしろ研ぎ澄まされていくことだと教えてくれます。
時間が過ぎるとはどういうことか、そもそも時間とは何なのかという、正解なき問いに思いを巡らせてみてください。
(P132)
『茶と糧菓 喫茶の時間芸術』
安藤雅信、溝口実穂
小学館/2020年
陶作家・安藤雅信と、浅草で完全予約制の茶寮「菓子屋 ここのつ」を主宰する溝口実穂の共著。茶、菓子、料理、器を愛するすべての人へ、安らぎと発見のある茶の楽しみ方を提案します。和と洋、菓子と料理、あらゆる垣根を越えて生まれた糧菓とお茶が織りなす新しい喫茶の形。四季折々の糧菓は美しく、写真を眺めているだけでうっとりします。喫茶文化の新しい風を感じることができる1冊です。
(P434)
『須賀敦子の旅路
ミラノ・ヴェネツィア・ローマ、
そして東京』
大竹昭子
文藝春秋/2018年
61歳で『ミラノ 霧の風景』を刊行し、衝撃の作家デビューを飾った須賀敦子。その8年後にこの世を去ったため残された作品は数少ないものの、その人気は衰えることなく読者に愛されつづけています。本書は彼女の没後20年という記念すべき年に刊行された1冊。雑誌のインタビューで知り合ってから親交の深かった著者が、ミラノ、ヴェネツィア、ローマ、東京と須賀の足跡をたどりながら、その起伏ある人生と作品の背景を探ります。
(P151)
(P151)
『Hiroshi Sugimoto Black Box』
Hiroshi Sugimoto
Aperture/2016年
日本の現代美術家・杉本博司は写真や美術に限らず、古美術、建築、造園、伝統芸能など、幅広い文化に造詣が深く、ゆえに表現の幅も広いアーティストです。一貫して形式主義的なアプローチを通じて、時間、経験主義、形而上学の概念を探求してきました。
本書は杉本がデビュー期から取り組んでいる写真作品を包括したモノグラフです。作品ごとにコンセプトは様々ですが、被写体が過去から現在まで過ごしてきた「時間」を切り取ることで、時間の流れを作品の中に織り込んでいます。
(P2)
『APPEARANCE』
兼子裕代
青幻舎/2020年
世代や性別、人種の違う人々が「歌っている」姿を捉えたポートレート写真集。米国カルフォルニアを拠点に活動する写真家・兼子裕代が日常生活の中で出会った人々を撮影した1冊です。被写体の自宅や彼らに指定された場所で、彼らが歌いたい歌を歌い、世界と共鳴する瞬間を写真に留めています。聞こえるはずのない歌声が伝わってくるような表情から目が離せません。
(P336)
『想像&老年 横尾忠則と九人の
生涯現役クリエーターによる対談集』
横尾忠則
SBクリエイティブ/2018年
80歳を超えてなお活躍を続ける画家・横尾忠則が先輩の現役クリエイター9人を訪ね歩き、創造と生命のつながりを探った対談集です。対談相手は画家、小説家、写真家、俳人、映画監督、建築家など、様々な業界で精力的に活動する9人のクリエイターたち。年齢を重ねた彼らの言葉は力強く、人生100年時代を生き抜くパワーが湧いてくる1冊です。
(P198)
『時間は存在しない』
カルロ・ロヴェッリ
NHK出版/2019年
「ホーキングの再来」と評される理論物理学者・カルロ・ロヴェッリによる独創的な科学エッセイ。著者は「物理学的に時間は存在しない」と過去から未来へ向かう時間のあり方を否定します。にも関わらず、なぜわたしたちは時間の存在を感じるのでしょうか。本書の後半ではこの問いに向き合い、ブッダやシェイクスピアなど宗教・古典文学を時間の比喩として織り込みつつ、哲学や脳科学を用いて時間の本質を明らかにします。
(P398)
『独居老人スタイル』
都築響一
筑摩書房/2019年
「乱雑な部屋に住んじゃいけないの?」「東京以外に暮らすのはダサいわけ?」など、怒りを含んだ疑問を出発点に本をつくってきた圏外編集者 都築響一。『TOKYO STYLE』『珍日本紀行』に続き、本作では「独居老人は憐れむべき存在なのか?」という問いに向き合います。人生の大先輩である一人暮らしのお年寄り16人を取材したインタビュー集。「老人の一人暮らし=哀れな晩年」という偏見を覆してくれます。
(P221)
『時間はどこから来て、なぜ流れるのか?』
吉田伸夫
講談社/2020年
私たちは当たり前のように「時間が経つ」あるいは「時が流れる」ことを感じています。しかし、本書によると物理的には時間の流れというものは存在しないのだそう。科学哲学や科学史をはじめ幅広い分野で研究を行っている著者は、人間の意識が時間の流れを作り出していると主張しています。相対性理論、宇宙論、熱力学、量子論、神経科学を見渡し、科学の視座から時間の正体に迫る1冊です。
(P20)
『アーユルヴェーダが教える
せかいいち心地よい
こころとからだの磨き方』
アカリ・リッピー
三笠書房/2020年
アーユルヴェーダとは、約5,000年前のインドやスリランカを発祥とする医学・健康増進法です。アーユルヴェーダの重要な考え方として、「個人一人ひとりの体質に合わせ、最も効果的なアプローチをする」というものがあります。例えば「水を1日2リットル飲む」という健康法が、体質的に合う人もいれば合わない人もいるのです。この本は、自分が本来持っている性質を知り、自分に合った心と身体の磨き方を見つける手助けをしてくれます。
(P101)
『角野栄子 エブリデイマジック』
角野栄子
平凡社/2019年
『魔女の宅急便』や『スパゲッティがたべたいよう』など、エブリデイマジック(日常の不思議)に満ちた作品を生み出してきた角野栄子。この1冊には、思い出の写真や品々とともに自作のイラストや俳句、大好きな本のリストなど、彼女の素顔がたくさん詰まっています。想像力と創造力に満ちあふれた角野さんのライフスタイルをのぞいてみませんか。
(P2)
『65歳からの京都歩き』
永江朗
京阪神エルマガジン社/2017年
東京と京都で月の半分ずつを暮らすフリーライター・永江朗による京都散策の指南書。四季折々のイベントから本、歴史、骨董、茶の湯、建築、民藝まで、様々な京都の楽しみ方を綴った1冊です。時には在住者、時には観光客の立場で京都の歩き方を教えてくれます。広くて深く、何度だって訪れたい京都。人生のベテランだからこそ楽しめる京都案内です。
(P59)
『中村好文 百戦錬磨の台所 vol.1』
中村好文
学芸出版社/2020年
これまで300軒以上の住宅を手がけてきた建築家・中村好文。食いしん坊で料理好きな彼は、クライアントそれぞれの食生活に応える台所に知恵と工夫を注いできました。本書に登場する住まい手は、自慢の台所を使いこなし、料理と食事を大切にする暮らしを楽しむ人たちです。そんな生き生きとした台所の日常を、文章やイラスト、写真、図面で紹介。眺めるだけで想像が膨らみ、ワクワクする1冊です。
(P185)
(P185)
『ON KAWARA』
河原温
Dallas Museum of Art/2008年
2014年に81歳で亡くなった現代美術家・河原温。2008年にダラス美術館で開催された河原温の展覧会「On Kawara: 10 Tableaux and 16,952 Pages」のカタログです。日付絵画≪Today≫シリーズをはじめとする作品のほか、Charles Wylie やTakafumi Matsuiによる作品の解説やコンセプトが掲載されています。表紙の日付は、人類が初めて月に降り立った日。実際には変わりゆく日付ですが、作品内に留まる確かに存在した日付を鑑賞することで、壮大な時間の流れを感じることができます。
(P164)
『鶴と亀 禄』
鶴と亀編集部
オークラ出版/2019年
長野県飯山市に住む兄弟が制作するフリーペーパー 『鶴と亀』。ストリートカルチャーの視点から、奥信濃のじいちゃんばあちゃんの日常を切り取った写真集です。その集大成となる本書では、第壱号〜第五号から選りすぐったストリートスナップに加え、じいちゃんばあちゃんたちの伝説エピソード、イケてる人たち×じいちゃんばあちゃんたちの対談など特別企画が満載。絶妙な表情のじいちゃんばあちゃんたちに思わずほっこりしてしまいます。
(P434)
『須賀敦子の旅路
ミラノ・ヴェネツィア・ローマ、
そして東京』
大竹昭子
文藝春秋/2018年
61歳で『ミラノ 霧の風景』を刊行し、衝撃の作家デビューを飾った須賀敦子。その8年後にこの世を去ったため残された作品は数少ないものの、その人気は衰えることなく読者に愛されつづけています。本書は彼女の没後20年という記念すべき年に刊行された1冊。雑誌のインタビューで知り合ってから親交の深かった著者が、ミラノ、ヴェネツィア、ローマ、東京と須賀の足跡をたどりながら、その起伏ある人生と作品の背景を探ります。
『APPEARANCE』
兼子裕代
青幻舎/2020年
世代や性別、人種の違う人々が「歌っている」姿を捉えたポートレート写真集。米国カルフォルニアを拠点に活動する写真家・兼子裕代が日常生活の中で出会った人々を撮影した1冊です。被写体の自宅や彼らに指定された場所で、彼らが歌いたい歌を歌い、世界と共鳴する瞬間を写真に留めています。聞こえるはずのない歌声が伝わってくるような表情から目が離せません。
『時間は存在しない』
カルロ・ロヴェッリ
NHK出版/2019年
「ホーキングの再来」と評される理論物理学者・カルロ・ロヴェッリによる独創的な科学エッセイ。著者は「物理学的に時間は存在しない」と過去から未来へ向かう時間のあり方を否定します。にも関わらず、なぜわたしたちは時間の存在を感じるのでしょうか。本書の後半ではこの問いに向き合い、ブッダやシェイクスピアなど宗教・古典文学を時間の比喩として織り込みつつ、哲学や脳科学を用いて時間の本質を明らかにします。
(P221)
『時間はどこから来て、なぜ流れるのか?』
吉田伸夫
講談社/2020年
私たちは当たり前のように「時間が経つ」あるいは「時が流れる」ことを感じています。しかし、本書によると物理的には時間の流れというものは存在しないのだそう。科学哲学や科学史をはじめ幅広い分野で研究を行っている著者は、人間の意識が時間の流れを作り出していると主張しています。相対性理論、宇宙論、熱力学、量子論、神経科学を見渡し、科学の視座から時間の正体に迫る1冊です。
(P101)
『角野栄子 エブリデイマジック』
角野栄子
平凡社/2019年
『魔女の宅急便』や『スパゲッティがたべたいよう』など、エブリデイマジック(日常の不思議)に満ちた作品を生み出してきた角野栄子。この1冊には、思い出の写真や品々とともに自作のイラストや俳句、大好きな本のリストなど、彼女の素顔がたくさん詰まっています。想像力と創造力に満ちあふれた角野さんのライフスタイルをのぞいてみませんか。
『中村好文 百戦錬磨の台所 vol.1』
中村好文
学芸出版社/2020年
これまで300軒以上の住宅を手がけてきた建築家・中村好文。食いしん坊で料理好きな彼は、クライアントそれぞれの食生活に応える台所に知恵と工夫を注いできました。本書に登場する住まい手は、自慢の台所を使いこなし、料理と食事を大切にする暮らしを楽しむ人たちです。そんな生き生きとした台所の日常を、文章やイラスト、写真、図面で紹介。眺めるだけで想像が膨らみ、ワクワクする1冊です。
(P164)
『鶴と亀 禄』
鶴と亀編集部
オークラ出版/2019年
長野県飯山市に住む兄弟が制作するフリーペーパー 『鶴と亀』。ストリートカルチャーの視点から、奥信濃のじいちゃんばあちゃんの日常を切り取った写真集です。その集大成となる本書では、第壱号〜第五号から選りすぐったストリートスナップに加え、じいちゃんばあちゃんたちの伝説エピソード、イケてる人たち×じいちゃんばあちゃんたちの対談など特別企画が満載。絶妙な表情のじいちゃんばあちゃんたちに思わずほっこりしてしまいます。